ハチの物語を深く知る

戦争と平和、人間と動物の絆を超えて時代を越えて語り継がれるヒョウのハチの物語。
その記録と足跡を辿る書籍・メディアコレクション。

ヒョウのハチの物語は、戦争と平和、人間と動物の絆という普遍的なテーマを持ち、多くの著者によって記録され、様々な形で後世に伝えられてきました。ここでは、ハチについて知るための主要な書籍や関連メディアをご紹介します。

一次資料

豹と兵隊 表紙

豹と兵隊

『豹と兵隊』

成岡正久著(1967年 芙蓉書房)

ハチと運命をともにした成岡正久氏自身による回想録。中国での出会いから別れ、そして終戦後の再会まで、ハチとの日々が生き生きと描かれています。古賀忠道氏(元上野動物園園長)の序文も収録されており、ハチを知るための最も重要な一次資料です。

初版は『兵隊と豹』として1943年に大東亜社から出版されました。

還らざる青春の譜

『還らざる青春の譜』

成岡正久著

成岡正久氏による自伝的回顧録。戦時中の若者たちの心情が丁寧に描かれており、著者が兵士として過ごした日々とハチとの出会いを通して、戦争の非情さと人間性の温かさが対比的に描かれています。平和の尊さを考えさせられる一冊であり、成岡氏の戦争体験と人生哲学が凝縮された貴重な証言となっています。

ノンフィクション・児童書

奇跡の歌

『奇跡の歌 戦争と望郷とペギー葉山』

門田隆将著(2017年 小学館)

「南国土佐を後にして」の歌とともに、「鯨部隊」(第236連隊)とハチのストーリーが描かれています。著者は高知県出身で、ハチの世話をした橋田寛一氏などへの取材も含まれています。

宮脇 真理子

感想:宮脇 真理子

感想

ヒョウのハチ

『ヒョウのハチ』

門田隆将著・松成真理子絵(2018年 小学館)

門田氏による絵本。子どもたちにもわかりやすく、ハチと兵士たちの交流が描かれています。

高橋 真弓

感想:高橋 真弓

感想

兵隊さんに愛されたヒョウのハチ 表紙

『兵隊さんに愛されたヒョウのハチ』

祓川学著(2018年 ハート出版)

著者自身が中国の牛頭山を訪れた体験も含め、ハチの物語を丁寧に紹介した児童書です。

泉井 史

感想:泉井 史

感想

戦場の天使

『戦場の天使』

浜畑賢吉著(2003 角川春樹事務所)

ハチの剥製修復に尽力した浜畑氏による童話作品。戦争という厳しい時代に生まれた兵士とヒョウの絆を子ども向けに優しく描いています。

杉本 恵子

感想:寺田 静代

「こいつは戦場のわしらの天使じゃ。」赤ちゃんヒョウの無垢な寝顔に、兵士たちは子どもにかえったような顔を見せる。戦時であることを忘れるようなハチとの温かなひと時、兵士たちは心に虚しさを抱えながらも、ハチのやさしさや愛にふれると、人間らしい心を取り戻すことができた。ハチに癒され、ハチを心の支えに戦地でのつらさを乗り越えることができたのだという。
戦後、剥製となったハチと長い間、共に過ごした成岡さんのハチへの深い思いについて、改めて考えてみたい。

その他の児童書

『戦場の天使』
浜畑賢吉著
(2003年 角川春樹事務所)

『ひょうのこハチィ』
小川惠玉・暁央共著
(2019年 遊絲社)

『陸軍省派遣極秘従軍舞踊団』
宮操子著
(1995年)

漫画・メディア作品

『ヒョウと兵隊』
一峰大二著
(1968年「小学四年生」1月号)

NHKドキュメンタリー
『豹と兵隊』
(1977年放送)

『ハチからのメッセージ』
(2009年
高知市子ども科学図書館)

ハチの紙芝居
(2010年
高知学園短大制作)

ハチの命展

企画展「ハチの命展」

2012年に高知県立のいち動物公園で開催された「ハチの命展」は、ヒョウのハチの物語を通じて平和の大切さを伝える企画展でした。この展示に使用されたパネル類は現在も教育用資料として貸出が行われています。

ハチの物語を通じて、戦争の時代を生きた人々の思いや、動物との絆について考える機会を提供しています。